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「友達作る?」

「はい、俺寂しくて」


デリバリーのためデスリカにいた俺は、滅多に見ることのない隆二さんと豹牙先輩のツーショットに囲まれていた。
とは言っても隆二さんはソファーに座っていて、豹牙先輩はお酒を運びに来ただけらしいが。

あれ、待てよ。こうして顔を合わせているのなら、もしかして、豹牙先輩って自分で隆二さんにあのときの五百円返したのかな……あれ?


「でも雄樹がいるだろ?」

「え? あ、いや。雄樹は仁さんと付き合ってるし、友達とだけ遊ぶってわけにもいかないじゃないですか」

「あー、まぁ。でも小虎には俺らがいるだろ?」


そう言って、隆二さんがニコリと笑う。その笑顔に胸をときめかせてしまうが、そんな簡単な話ではない。


「いや、隆二さんは俺にとってお兄ちゃんで、豹牙先輩は先輩です。友達ではないです」

「……なんか嬉しいような寂しいような」


複雑そうな隆二さんの顔に困ってもしまうが、さすがに兄貴の弟でも隆二さんと友達! なんて恐れ多いことを言える俺じゃあない。
つーか隆二さんや豹牙先輩を友達として見れないことは事実だし、うん。


「つーかお兄ちゃんなんだ、俺?」

「え? はい。なんか理想のお兄ちゃんって感じです」

「ぶふっ」


少しだけ楽しそうな隆二さんに頷けば、トレイを抱えた豹牙先輩が噴き出した。
理由も分からずに二人を交互に見れば、隆二さんがそんな俺の頭を撫でてくる。


「ま、いーけど。俺も小虎のこと、可愛い弟みたいに思ってるよ」

「……っ」


きゅんっ、なんて乙女チックな音がした。どうして隆二さんみたいな素敵な人が兄貴に振り回されているのだろう。くそう、いくら兄貴でも許せん。
ふいにうしろからも頭を撫でられて振り向けば、口角を上げた豹牙先輩がいた。


「俺も小虎のこと、可愛い後輩だって思ってんぞ?」

「……っ」


わわ、顔が熱い。くそう、イケメンたちめ。俺じゃなくて女の子に「可愛い」って言えよ。あ、言ってるかもだけど。
あー、だからとにかく……恥ずかし……っ。




 


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