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8 - 10



「夏休み?」

「そだよ、来週から夏休みじゃん」


週明けの調理室にて、雄樹がまたお手製のスケジュール表をひらひらさせながら俺に言う。
そうか、もう夏休みなのか。手に持っていた漫画本を置いて、雄樹のスケジュール表を受け取る。おい、バイトバイトバイトじゃねぇか。


「夏休み、か……まぁバイト一択だな」

「あはは、でも俺と仁さん旅行行くよ? ほら、ここ」

「……二泊三日……しかも温泉ですか」

「うん。俺と仁さん温泉好きだかんねー」


いいんじゃないんですかねぇ、温泉。とか思いつつも頭の隅に浮かぶのは、バイトが休みなら暇だな、ということだった。
自分でもうんざりするほど思ってはいるが、俺の日常にはバイトしかない。昼は雄樹と昼寝して、夜はカシストでバイトして。以前よりも軽くなったシフトはまだ週六だし、労働基準法なんてもう破りまくりの踏みまくりだ。
だから休みの日といえば勉強しかしてねぇし、家にはゲームもないから携帯いじるか昼寝か勉強か。

あ、やばい。やっぱり友達作ろう……。


「俺、友達作るわ。夏休みの目標それにする」

「えぇ!? 俺がいるのに!?」

「だって雄樹、いつでもいるわけじゃねーもん。それに恋人だっているし、俺とばっか遊ぶわけにもいかねーだろ?」

「でも俺はトラちゃんのダチだよ!」

「知ってる。安心しろって、お前以上のダチなんていねーから」


そう言って微笑めば、雄樹は不服そうながらにも頷いた。あぁ、可愛いやつ。

それからの俺は早かった。まず、カシストにて友達になれそうなやつを探し、デスリカでもデリバリーをしながら探してみる。が、まぁ、見ただけで友達になれそうなやつなど分からないし、そもそも雄樹とだってダチになったきっかけは「友達になろー」とか、アホ面かまして話しかけてくれたからで……あぁ、なんかめげそう。




 


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