2018/02/17 22:25

今夜は友人の話をしよう。
どうせ誰もこんなところ見てやしないだろうから、大切な私の友人の話をしたい。
長々と今夜はお喋りをしたいと思う。

2月8日に私の中学からの友人が亡くなった。
過労による発作を起こし、そのままお風呂の中で亡くなった。溺死だった。
色々亡くなった状況が複雑で、私自身たくさん思うところがありすぎるのだけれど、詳しくは書けないので省略する。ただただ突然の訃報だった。

12日に中学時代からの別の友人からLINEで連絡が入り、すぐに他の人にも連絡した。
中学の先生にも連絡を回し、私は女の子3人と一緒に亡くなった友人の自宅へ伺った。
実際に会うまではどこか現実離れしてるような気がして、本当に彼女が亡くなったのかどうか実感が沸かずにいた。
けれど涙ながら亡くなった状況や彼女との思い出を語るお父さんの姿を見て、これが現実なんだと月並みな感想を抱いたのだった。

今夜は彼女のお通夜に出席した。
明日の告別式にも参列するのに、せっかちにも香典を渡してしまい(どうやらこの地域は告別式で渡すのかな?)思わず苦笑い。
意外にも彼女が亡くなって、自宅に伺ったときもどこか冷静だった私。
けれど今日祭壇に飾られた彼女の大きな絵を見て涙が止まらなくなった。

中学2年で同じクラスになった。
お互いの存在を知ってはいたけれど、急速に仲良くなったのは、彼女と席が前後になってからだ。
あまり恥ずかしくて人に言えなかった小説の趣味をこっそり打ち明け、彼女の絵のサイトと私の小説のサイトがリンクでつながったのもこの年だ。
そして彼女に小説の挿絵も書いてもらった。その小説は私が未熟ながら未完で終わったのだけれど……。
高校に入って別々の進路についてからも、私は時折彼女に小説を読んでもらい感想をもらったものだった。最後に読んでもらったのは実はサイトでも公開している『ポルノ・キャパシティ』だ。彼女はすごく1話目を褒めてくれたのを今でも覚えている……。

私が未熟な小説を書いたり映画を撮ってる一方で、彼女は飛躍的に絵の才能を伸ばしていた。
多くの賞を貰い、Facebookやインスタグラム、Twitterで語られる彼女の近況を見て私もすごく勇気づけられていた。
淡いタッチの水彩画……彼女がお父さんへ送った絵葉書。時折あげられる彼女の写真はいつも笑っていて、大学に入ってからすごく綺麗になった。
2月7日までTwitterは更新されていた。
試験も近くてタイムラインをほとんど追わなくなっていた私の目に留まるほど、彼女はわりに頻繁に更新していたから、そこから数日、何も呟かないのを見て単純に忙しいのかな?とぼんやりと思っていた。
それからわずか数日と経たないうちに、彼女の訃報が入ったのだった。

今日の葬儀に参列して、連絡してくれた友人が「水沢の話も夏にしてたよ。演劇の脚本書いたりしてるって聞いた」と言っているのを聞いて、何故だか涙が出そうになった。
最後に会ったのは彼女の通う大学のある京都。
私が3回生のとき。彼女は4回生。
京都の地下街のスタバでほんの2時間くらいお喋りしただけだったけれど、そのあいだ互いの近況を話したり、彼女が大学院を受験すると教えてくれたり、互いに教わってる先生がすごく良い先生で大学が楽しくてたまらない、といった話をした。
よもやそれが最後の日になるとは思いもよらなかった。

最後に連絡が来たのは去年の7月。京都に来る用事ない?面白い展覧会があるんだ、と。
その時試験前でお金も時間もなく、断った私は次回の展覧会こそ行こうと思っていた。
その次回は、彼女の亡くなる前日の先週の水曜、つまり7日からだったらしい。
大きな作品を描き上げた彼女は、その作品にもしかすると魂ごと奉げてしまったのかもしれない。

正直な話、彼女の死は防げる状況にあった。
だから私はどうしても彼女が亡くなった状況を聞いて恨み言のようなものを言いたくなる気持ちも抑えられない。
けれどお会いしたご両親が堪えているのを見ると、私からは何も言えないし、何も言ってはいけない。

私たちはみんな、出会ってから10年間一緒に大人になった。
遺影は綺麗な着物を着た、笑顔の写真。成人式だったかな。
明日はいよいよ告別式。本当のお別れだ。
棺の中の彼女の眠る表情を一生忘れない。
声も、笑った顔も、絵が大好きだったことも。

彼女のお母さんが、今度彼女の遺作で展覧会を開くらしい。
これを目標にできたから、しばらくはぼんやりせずにいられると笑っていたのが堪らなかった。
私もいつまでもメソメソしてはいけないし、日常は巡っていく。
明日はきちんとお別れして、時折彼女の話をみんなでして、そして展覧会も見に行こう。
そして今作りかけの脚本を仕上げてきちんと映画を撮ろう。
今私に出来るやらなければならないことを、やり遂げよう。
彼女の何倍も生きて、生きなければならないと思った。

ただただ今は悲しくて仕方がない。





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