冷たい彼の優しい手
7話
誰も来ないような場所で、独りぼっち。
探しに来てくれる家族も、心配してくれる友達もいない。
自分を顧みる者など、どこにもいない。
まるでサスケへの一方通行な気持ちと、同じみたいだ。
相手にされない。
サスケからも、里人からも、誰からも。
それがとても、痛くて、苦しくて…………寂しい。
寂しい、寂しい。
そこまで考えた時、急に瞼の裏が熱をもって疼き出した。
熱で潤んだ涙腺は、ちょっとした衝撃できっと溢れてしまうだろう。
(ヤダってば………)
こんな風邪の一つで、酷く気弱になっている自分が。
独りぼっちには慣れているはずなのに、それが耐えられない自分が。
サスケ、サスケって、相手にもされていないのに、突っかかっていく自分が。
……………泣きたくなんてないのに。
涙を堪えるように、ナルトはぎゅっと目をつぶった。
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