雨上がりの蒼穹
15話
サスケは僅かに目を瞠り、それから酷く何かを堪えたような切ない表情で、ナルトを見つめた。
どれだけ月日が経っても色褪せる事のない、雨上がりの顔岩で交わした約束。
木ノ葉を守る。そうして、イタチに託されたものを継いでいく。
そうする事が、自らを犠牲にして里を守り、身命を賭して弟を守ろうとした兄に対する、精一杯自分ができる償いだと思ったから。
そしてまた、悔恨の渦の中で足掻く自分に道を示してくれたナルトの想いに、応えたい気持ちもあった。
決して違える事のない、己にとって神聖な誓いにも似た、かけがえのないもの。
あの日以降、一度も改めて口にした事はなかったが、その想いは今も胸の奥深くに刻み込まれている。
片時も忘れた事などない。
そしてそれは、ナルトも同じだったのだ。
約束は、彼の中で過去のものではなく、今この瞬間も生きているのだと知って、身体中に泣きたくなる程の優しい気持ちが満ちてくる。
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