雨上がりの蒼穹
10話
どこか土と草の匂いがする雨上がりの道を、進んでいく。
頬を撫でる風は少し冷んやりとして、歩くのには心地良い。
顔岩の上まで来ると、雨の名残で大きな水たまりが出来ていた。
そこに映り込んだ青空がとても鮮烈で、思わず瞳を奪われる。
直接仰ぎ見るのもいいけれど、こうして下を向いて空を眺めるのもまた、不思議な感じがして面白い。
キラキラと水面に広がる蒼穹。
その中に、ナルトの瞳のような鮮やかに煌めく蒼を見出して、自然と口許が綻んだ。
今ここにナルトがいたら、もっと楽しめるだろうに…と、妙に甘ったるい事を考えながら、逆さまに映った空を飽きずに眺める。
その中に、突然ひょこひょこ跳ねた金糸が映り込んだ。
「サスケ、みーっけ!」
賑やかに弾んだ声。
驚いて顔を上げると、目の前にナルトがいた。
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