雨上がりの蒼穹
8話

ナルトの傍にいたい。


彼の隣で、同じ空気を吸って、同じ時間を過ごす。


それだけで、とても穏やかで優しい気持ちになれる自分を知っているから。


昔はこんな風に人を好きになれるだなんて、思ってもいなかった。


目に映るもの全てを憎悪し、復讐にしか生きる意味を見いだせなかったあの頃は、こんなにも誰かを愛し、その人の傍に在る為に生きたい、と思う日が来るだなんて露程も考えた事などなかったのに。


今では必然と思えるぐらい、ナルトを深く愛している。


「フッ…………」


つらつらと考え事ばかりしている事に気付き、ふと一息吐く。


山積みだった書類の束を半ば捌いて一段落した頃、ふと窓の外を眺めると。


ついさっきまでシトシト降っていた雨は、今はからりと上がって、雲の切れ間から胸のすくような青空が顔を覗かせていた。


大気中の塵が洗い流されたからだろう、里に広がる森全体がより鮮やかに深緑に澄んで見える。


もし隣にナルトがいたら「な?すげーキレーだろ!」と、胸を張って自慢気に言いそうだ。


ちょうど二人で顔岩から眺めた、いつかと同じように。



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