雪の追憶
3話
さらさらのパウダースノーが降り積もる光景に、ふと、脳裏をよぎったもの。
雪。
降りしきる雪。
身を切るような冷気。
その冷気よりも、身が心が凍える程の衝撃……。
胸を抉るような、苦しい感情を呼び起こす………過去の記憶。
鉄の国。
うちはマダラ。
イタチの真実。
血塗られたうちはの憎しみの運命。
マダラから矢継ぎ早に突き付けられた、数々の真相。
憎しみ、それが最終的にサスケ自らが選択した忍道だと聞かされた。
その衝撃に、あの時はガラにもなく狼狽え、酷く混乱した。
どうしたらいい?
どうすればいい?
答えが分からない。
自分はサスケに何をしてやれる?
生まれて初めて脳ミソをフル稼働させて考えに考えたけれど、何も答えが浮かばなかった。
初めて知った、ドロドロとした醜い不条理な忍の世界。
自分が追い求める理想とは真逆の現実に、精神が追い詰められて呼吸が出来なくなった。
あの時は、ただ、ただ、苦しかった。
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