新米火影様
12話
不意に喉の奥が熱くなって、ぼんやりと霞み始めた視界に、目の前のサスケが滲んで見えた。
「アレ…?」
不思議に思って瞬きすれば、静かに頬を滑り落ちるもの。
「アレレ?」
ナルトの瞳から、ぽろりと涙が一滴零れた。
それはナルト自身も全く予期していなかったもので、己の頬を濡らす雫に驚いたように掌でこすった。
「アレ?アレ?」
ジンと目の奥が熱い。
一滴、また一滴と、熱いものが頬を伝う。
意識せぬまま後から後から溢れてくるものに、戸惑うように何度も瞬きを繰り返した。
「なんで?なんで?何でオレ泣いてんだってばよ!?」
「…そりゃ、幸せで胸がいっぱいだからだろ」
「へ?」
悲しい訳でもないのに。
涙の理由が分からなくて、困って瞳を頼りなく揺らせば、穏やかにサスケが呟いた。
白い指先が、そっと優しい動きで濡れた頬を拭う。
「……で、返事は?」
「ふぇ?」
「泣いちまうぐれェ嬉しかったんなら、きちんと返事くれよ」
コレの、と言うように指輪に音を立てて口付けられる。
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