新米火影様
11話
心臓が、一気に鼓動を倍にする。
顔どころか耳まで赤くなったのが自分でも分かった。
「ナルト……」
意識を攫うような綺麗な微笑みと共に、手をゆっくりと掬い取られる。
その左手の薬指に、サスケによって嵌められていく金の指輪。
「結婚しよう」
泣きたくなる程、幸せそうな笑顔で。
切なくなる程、甘い声で。
厳かに告げられたプロポーズ。
自分だけに向けられた、それはサスケの一途な想い。
好き。
愛してる。
お前が欲しい。
そんな言葉は今まで何度も言われてきたけれど。
薬指を甘く拘束する金の質感が、愛してるなんて言葉より、はるかに愛されている実感をもたらして、身体中が幸福感で一杯になる。
「サスケェ……」
疼くような胸の鼓動が強くなっていく中、サスケへの抑えようのない愛しさだけがナルトを支配した。
[ 前 へ ][ 次 へ ]
[目 次 へ ][TOPへ]