新米火影様
10話

そして我が家にサスケがいてくれるからこそ、自分の幸せは完成するのだ。


幸せはサスケが与えてくれた。



―――――それは2年前の10月10日。



忘れもしない20歳の誕生日に、サスケから贈られたプレゼント。






「ナルト、誕生日おめでとう」


そう言って差し出された小さな箱。


それはビロード張りの青い小箱で。


蓋を開ければ、シンプルな金の指輪が、青い絹の上でまばゆい輝きを放ちながら静かに鎮座していた。


(あん時は、いきなりすぎて、すげービックリしちまったってばよ……)


恋人の自分に贈られる指輪の意味を、いくら色恋の機微に疎いナルトとて分からぬ訳ではない。


けれど、あんまりそれが突然すぎて心臓がバクバクして痛い程だったので、ナルトはその意味を理解するのに、しばらく時間がかかってしまった。


どこか呆然として見返してくる蒼眸に、サスケはフッ…と笑った。


照れ隠しか、それともはにかんでいるのか、初めて見せるとろけるような優しい表情を、その端整な面に浮かべながら。


「今のままでも不満はねェが、このままズルズル流されてくのもイヤだから、きちんとケジメをつけたい」


だから受け取ってくれ。


深みを増した漆黒の瞳が真摯な色彩を刷いて、ナルトへそう語っていた。




補足:

結婚指輪はプラチナがいいなーと思ったけど、ナルトのイメージが金だからゴールドにしました。



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