新米火影様
8話
愛し、愛されて、サスケの傍が自分にとって一番居心地の良い場所だと、共に在ることの幸せを感じていた。
けれど今は、チューどころかギュッすら難しい。
オレのアレが欲しいだろニヤリなんて、随分とご無沙汰だ。
だからと言って、弱音を吐くつもりは毛頭ないが。
火影は自分の夢だから。
幼い頃から夢見た、道だから。
自分の選んだ道に、誇りと自信を持っているから。
ただそのせいで、サスケにまで窮屈な現状を押し付ける事になってしまっているのが、少しだけ切なかった。
そう考えている事を口にしたなら、見損なうな、と彼は機嫌を損ねてしまうだろうけど。
この優しい男は、いつだってナルトを優先してくれる。
ときには自身の身体すら顧みずに。
今だって、サスケはすやすやと寝息を立てているものの、斜めに傾いでいる身体は少し苦しそうだ。
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