新米火影様
3話
六代目火影に就任して、数ヶ月。
忍五大国の歴代の影の中でも最強と謳われ、また史上初の下忍のまま火影へと上り詰めた意外性ナンバーワン火影として、驚きと憧憬をもって里内外までその名が知れ渡り。
木ノ葉の里を守ること、火の意志を未来へと継いでいくこと、その為ならばどんな苦労も困難も厭わない、溢れんばかりの理想に燃える若き里長。
最大級の敬意を込めて「火影様」と人々から呼ばれている。
―――――けれど現実は。
ろくすっぽ休みも取れず、ずっと働き詰めで疲労はピークに達していた。
こなさなければいけない仕事は、いつだって抱えきれないぐらいにあって。
寝食を削り、昼夜を問わず、新米火影のナルトは現場を飛び回った。
けれど、黄色い閃光と恐れられた父親譲りの実力とずば抜けた行動力、愛嬌の塊のような陽気な笑顔で周囲の人間を虜にするカリスマ性で、火影たる資質は充分にあるものの。
こと実務的な面に於いては、アカデミー時代から勉強といえば万年ドベ、授業を受けた時間より廊下に立たされた時間の方が長かった、とまで言われる程に大の苦手で。
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