新米火影様
2話

まだ眠気の残る目を擦りながら、闇の帳が落ちた暗い室内から月明かりに誘われるよう縁側へと足を向ける。


「ん?」


その時、蒼い双眸が目ざとく何かを捕えた。


ちょうど室内からは死角になって見えなかったが、月光に照らされ縁側に伸びた人影。


一体いつの間に、帰って来ていたのだろうか。


柱に凭れかかるようにして縁側で舟を漕いでいるのは、昼間、火影執務室で別れたきりの、今日で一つ年上になった恋人だった。


「サスケ」


聞こえてくるのは規則正しい寝息だけ。


男のくせにやたら長い睫毛は、濃い影を落とし伏せられたまま、こそとも動かない。


「……おかえり」


しゃがんで頬杖を付いたナルトは、愛しい人が傍にいる事に仄かな幸せを感じながら、そっと囁いた。


サスケの寝顔をこうやって間近にじっくり見る事が出来たのは、考えてみれば随分と久しぶりのことだった。



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