泡沫の夢
6話
冷たい、乾いた肌の感触。
想像していた以上に固い皮膚。
みっしりとついた筋肉の張りと、薄く色を変えた幾つかの傷の名残。
それはいかにも鍛練を積んだ忍らしいものだった。
まだまだ華奢な骨格の自分とは、随分違う。
(………アレ?)
不意に掠めた違和感に、ナルトは改めて男を見上げた。
見上げる程の身長差?
筋肉の張った二の腕?
同い年のサスケが?
背の高さも肩幅も体格も、記憶に残る彼とは顕らかに違っている。
ナルトは戸惑ったように瞳を揺らした。
「…なぁ……サスケ?……サスケじゃねーの?」
「………………」
男は何も答えなかった。
その瞳は硝子玉のように冷たく、感情を綺麗に喪失させた双眸には、ナルトへの邂逅の欠片も見当たらない。
いつでも何をしていても、決して頭を離れないサスケの記憶に囚われ続けている己とは、余りにも違って。
醒めた瞳。
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