泡沫の夢
5話
ナルトは穴が開く程に男を見詰め、何度も瞬きを繰り返した。
闇夜を映したかのような漆黒の髪に、冷たく冴えた切れ長の瞳。
それとは正反対に、透き通るような白磁の肌。
似ている、と思った。
その色彩から、その怜悧な容貌から、纏う雰囲気まで。
賑やかな雑踏の中で、そこだけ時間が止まってしまったかのように、ただ呆然とその場に佇む。
黒目、黒髪の人間は木ノ葉には掃いて捨てる程いるが、しかしここまで彼にそっくりというのは―――――。
妙に圧迫感を感じるのは、俄かに信じがたい現実を目前に突き付けられているせいだろうか。
それでも無意識に引き留めようと伸ばした腕が、相手の腕を強く掴んだ。
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