うちはさん家の気まぐれ猫
12話
逃げようとする腕を捕まえると、チョンと触れるだけの口付けを額に落として、優しく抱き直します。
『うぁぅ///』
『ネコばっか相手にしねーで、オレを構え』
『う?』
『もっと可愛い鳴門を見せろよ……オレだけに』
耳たぶのすぐ側で甘く囁きながら、佐助は反論を封じ込める為に艶然と微笑みます。
女性達がキャーキャー言って群がるのが日常茶飯事な超絶イケメンの、甘い低音と柔らかな微笑みは効果てき面でした。
恥ずかしさのあまりジタバタと暴れていた鳴門の動きがピタリと止まります。
まさに、蛇に睨まれた蛙のよう……いやいや、蛇から鷹に変わったじゃん……いやいや、鷹はもう解散状態じゃね?……いやいや、そもそもコイツら忍じゃねーし、ただの高校生だしー。
要するに、ちょーかっけー佐助にときめいちゃって、視線が釘付けになってしまったのです。
補足:
ことわざ「蛇に睨まれた蛙(カエル)」は、「恐ろしさのあまり身体が竦んで動けなくなる」という場合に引用します。
小説内の使い方は間違っていますが、ヘビとカエルのネタを使いたかったので、わざと引用しました(^^;)
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