うちはさん家の気まぐれ猫
4話
すっぽりと両手に収まってしまう、小さな小さな身体。
仄かな温もりに包まれて初めて安心したのか、子犬はか細い声でキャンと鳴いた。
「冷えきってんな、こいつ。丈夫かよ……」
気遣わしげに濡れた毛並みをそっと撫でる。
それに呼応するようにゆっくりと、その閉ざされたままだった瞼が上がる。
そこに現れたのは、真っ青な空の色だった。
大きな丸い二粒のそれは、佐助の愛する人と同じ、綺麗な蒼い瞳。
「…………鳴門」
「キャン」
分かっているのか、いないのか。
思わず転がり出た名前に、まるで返事をするかのように響いた鳴声。
そのタイミングの良さに、何だか笑いが込み上げる。
「フッ……」
またとろとろと瞼を閉じてしまった子犬を懐深くに抱きかかえて、佐助は雨の中を駆け出した。
一言:
こうして佐助は子犬を拾いました。
佐助sideの話はこれで終わり。
次から猫サスケsideの話になります。
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