うちはさん家の気まぐれ猫
3話
(何だ?)
降りしきる雨に何もかもを飲み込まれ、人気のなくなった歩道の端。
何の変哲もないダンボール箱が、ぽつんと置かれている。
それがカタリと小さな音を立てて揺れた……ように見えたのは、果たして自分の気のせいだろうか?
少々の興味と、いつの間にか恋人に感化され身についてしまったらしい好奇心とで、佐助はその箱に歩み寄った。
まさか生き物でもいるのだろうかと、そっと蓋を開く。
…………そこには。
ある意味、彼の予想した通りに、小さな生き物がいた。
もこもこの黄金色の毛に覆われた子犬。
上から覗き込む人間の存在にも気付かずに、ふるふると震えながら毛玉のように丸まっている。
まるで誰かを彷彿とさせる鮮やかな黄金の色彩に、佐助は無意識に手を伸ばした。
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