うちはさん家の気まぐれ猫
2話
◇◇◇◇◇
ざぁざぁ ざぁざぁ
降り出した雨が地上を灰色に染めていく。
じっとりと湿った空気が辺りを包み、街は静かな夕暮れを迎えていた。
「チィ…降ってきやがったか……」
バイトの帰り道、どんよりと重く垂れ込めた雲を見上げ、佐助はその形の良い眉をしかめた。
バイト先を出る時は、薄曇りの空に遠く雨雲の気配を感じる程度だったのだが、どうやら予想が甘かったらしい。
もちろん傘など持ち合わせていない。
雨脚は次第に強さを増して、渇いたアスファルトを埋め尽くしていく。
(どうする?)
取り敢えず雨を凌げる場所を探して辺りを見回す。
道も建物も、雨に煙りぼんやりとその輪郭を滲ませ、降り掛かる水滴に、佐助は軽く瞬きを繰り返した。
その時、ふと視界の隅に何か不自然なものを捉えた。
補足:
佐助がバイトしてる理由は鳴門の誕生日プレゼントを買うため…とゆ〜設定を考えたのですが、それを話の流れに組み込めませんでした
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