vacillate between fear and love
7話

その時憶えた痛みは時間が経っても消えてなくならず、心の奥底に、じくじくと疼く傷となって存在している。


完全には癒えない傷痕。


それは、常にナルトの心を不安に陥れる。


いや、それはもう不安と言うより恐怖、そしてそれ以上に、諦めに近い感情かもしれない。


だから自分にはもう恋は無理なのだと、ナルトは心の中で言い返した。


昔のようにもっと単純でいられたのなら、もっと素直になれただろうに、それでも自分は現実を痛い程に知ってしまったから。


いつまで、こうしていられるだろう。


いつまで、サスケは「好き」と言ってくれるだろう。


同じ布団に眠りながら、尚もナルトの頭の中には、そんな強迫観念めいた疑念がこびりついて離れない。


胸に混在する、不安と、好き。


その相反する二つの感情にがんじがらめにされて、身動きがとれなくなってしまった。



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