名も知らぬ君との出会い
3話
「あのさ、あのさ!このかわ、タイとか、ヒラメとか、いんの?りゅーぐーじょーまで、いけんのかってばよ?」
今の今まで、その存在を遠くにしか捉えていなかった少年。
その彼が、思いがけず自分の傍らへとやってきて、ごく自然に話しかけてきた。
常に遠巻きにされ、腫れ物にさわるように扱われてきたサスケにとって、こうも馴れ馴れしい態度を取られたのは初めてだった。
しかも相手とはほぼ初対面で、知人ですらないのだ。
普段なら、その図々しさに嫌悪感が湧くところなのに。
少年に対して感じるのは、驚きと困惑だけだった。
その上、少年の言葉は完全にサスケの理解の域を超えていた。
何だか、突拍子もない事を言われた気がするのだが。
鯛?平目?竜宮城?
脳天気な明るい声に、サスケの眉間に皺が寄った。
「…………は?」
「りゅぐーじょーって、すげーたのしそーだよな!おまえってば、いっつもかわみてっけど、どこらへんにあんのか、しってんの?」
竜宮城がどこにあるか、だと?
それは絵本の世界の話だろう。
第一、ここはただの川だ。
竜宮城は海の中にあるんじゃないのか?
………って、あるワケねェだろ。バカか、オレ。
こいつもバカなんじゃねーか。
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