名も知らぬ君との出会い
1話

2014.11.05start
前書き

一部設定。

アカデミーに入学するより以前、サスケがいつも川縁に座ってて、土手の上をナルトが通る…という原作の回想シーンがありますよね。

2人とも何となくお互い意識してプイ!と顔をそむけて、でもその後で一人こっそり微笑むという。

最終回間近の695話にその回想シーンが出てきてさ。そしたら無性にそのシーンを書きたくなったので、そのシーンを元にして、自分なりに想像しました。

原作では、その時の2人は交流する事なく終わってるけど、もしちょっとでも交流していたらどうなってたかな〜と思って。

サスケ寄りの話になります。

もともとはナル誕の話を書こうと思ってたんだけど、全然誕生日とは関係なくなりました(汗)。

ただ、その名残りで、小説の中の季節は10月で秋です。





この世で、サスケは今、独りぼっちだった。


一族殲滅のあの夜から、里は、見知らぬ他人の顔で自分の事を扱った。


誰もが、遠巻きに自分の事を見るだけ。好奇と憐憫の視線を寄越すだけ。


誰も自分の事を本当には気にかけない。


だから逃げたかった。素知らぬ人々の群れから。


行くあてなどどこにもない、ただ孤独な時間を紛らわす為に、川縁で膝を抱え身体を丸めるようにして、流れゆく水の行方を、サスケは見るともなくぼんやりと眺めていた。


来る日も、来る日も。


そうして水面を渡る風の冷たさに、凍える心と身体に、もう孤独が癒される事はないのだ………と。


そう思っていた。ーーーーほんの少し前までは。


「なんかさ、なんかさ、すっげーふしぎだってばよ!」


その背中に、不意に明るい声が掛かった。



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