熱情
13話
サスケは驚く程真剣な表情で、そのくせ組み敷いた自分をどう扱って良いのか、計り兼ねているようだった。
言葉ほどには強引になりきれないのも、そのせいかもしれない。
きっと、大切に思っているお互い様だから。
「………どうしようもないくらい、お前にホレてるんだ」
何もかもに絶望し全てを捨てた自分が、唯一、求めたもの。
執着と言ってしまえば、それまでかもしれない。
しかしサスケにとって、それは何よりも一番大切な感情だった。
彼の心の全てを独占したい、と。
身体の下で浅い呼吸を繰り返している、愛しい生き物。
綺麗で激しくて、何より強い。誰にも負けない心を持っている。
そうして鮮やかに、自分を魅了し続けている。
「それでも……まだダメか?こんなに好きなのに?お前だけなのに?」
サスケの言葉に、ナルトはのろのろと瞼を上げ、それから肺の中が空っぽになりそうな深い溜息を一つ、漏らした。
薄く染まった頬は、キスの名残か、それとも他に理由があるのだろうか。
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