熱情
12話
「ナルトを抱きたい。抱かせてくれ」
想いを直接、口移しで伝えるように、サスケが唇を重ねる。
呼吸も、言葉をも奪い去るように。
唾液の糸を引きながら、淫らに交わされる口付けに湿った音が溢れて、ナルトはひくんと背中を仰け反らせる。
感じているのだろう、優しく上唇を甘噛みして、苦しそうに喘ぐその口腔を舌で舐め上げれば、明らかに艶を含んだ声が零れた。
「ナルト……ナルト……お前が欲しいんだ………」
「ぅ……サ、スケェ……」
「オレにくれよ。お前の全部」
「サ………」
「好きなんだ、お前が………好きだ、ナルト…」
「………っ、っ…」
しゃくりあげるような吐息。
ずっと堪えていた眦から、一滴、涙が頬を伝い落ちる。
切ないのか、寂しいのか、あるいは哀しいのか。
何がこんなにも心臓を鷲掴みにしているのだろう?
男にしては白く長い指がその痕をなぞって、水気を残す頬を拭うのに任せて、ナルトは男を見上げた。
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