熱情
８話
だが、こんなのは嫌だった。
例えサスケの事は好きでも、そう簡単に全ての弱みを晒す事など、ナルトには出来ない相談だった。
好きという感情だけでは、きっと解決できない。
好きだからこそ、難しい事はたくさんあるし、そしてこれもそのうちの一つに違いなかった。
「サスケはヤじゃねーけど………ヤダってばよ」
小さな否定の声。
押し退ける腕に力が入って、息苦しい空間から抜け出そうと悪足掻きをしている。
無駄だとは、お互いが知っている事なのに。
「どうしてだ？お前、オレの事好きなんだろ？」
「そ、だけど………オレ…やっぱ……」
痛い所を突かれて、ナルトの抵抗が一瞬鈍くなる。
その隙を逃さず、サスケは今しも逃げようとしていた恋人を、再び両腕の中に引き戻した。
そうして、きつく首筋へと噛み痕を残す。
彼が自分のものであるという、何よりも確かな印を。
［ 前 へ ］［ 次 へ ］
［目 次 へ ］［ＴＯＰへ］