vacillate between fear and love
3話

事実、サスケは自分の元から去っていった。


身も心も、既に相手に芯まで捕らわれていたと言うのに、サスケには躊躇の欠片も見受けられず。


それが当然の権利だと言わんばかりに、自分を捨てていった。


大きく引き裂かれた傷口から血を流しながら感じたのは、身体の痛みではなく、胸の痛み。


そうしてやっぱりな、と思う。


それは、この恋が芽生えた頃から、常に頭の中で仮定されていた未来だった。


お前なんかもういらないと、関係ないと冷たくそう言い捨てられ、立ち竦んだ自分をその場に残したまま、呆気なく目の前から去っていく。


縋る事さえ許されない、別れ。


想像していた未来と似たような情景が、今、現実の事として起こっているだけ。


(やっぱりだってばよ…………)


忌み嫌われている自分が、決して、里の全員に受け入れられるなどと甘い事を考えていた訳ではないが、サスケだけは……と、どこかで信じていた。


けれど、やはり人間として不完全な―――人間ですらない化物の―――自分には、そんな夢のような幸福は望めるはずもなかったのだ。



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