熱情
2話

「ナルト」


酷く愛しげに名前を呼ぶ、甘い声。


もしもその台詞を吐いたのが他の人間だったのなら、自分はきっと馬鹿みたいに笑い飛ばしていたに違いない。


冗談にしては質が悪いし、仮に本気であったとしても、少なくともそれは男が同じ男に対して告げる言葉ではないだろうから。


だが、生憎とそれを自分に言ったのは、いわゆる恋人と呼ばれる関係の相手だった。


初めて組んだマンセル仲間で、親友でライバルで、文字通り命懸けで木ノ葉の里に連れ戻した、自分にとっで掛け替えのない唯一の存在。


昨年、里に帰還したのを機に、漸くお互いの気持ちを確かめ会ったばかりの。


自分に限って言えば、相手への想いに気付かされたと言った方が正しいが。



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