冷たい彼の優しい手
13話:終
おずおずと力を込めれば、同じように握り返される。
一瞬、嫌がられるかとも思ったのに。
けれどサスケは、振りほどいたりしなかったし、その幼い行為を馬鹿にしたりもしなかった。
ただ無言で、静かに優しく、その顔がフッ…と微笑んだ。
(うわー、うわー、マジ、どーしよー!!)
その途端、心臓の鼓動が一気に倍に跳ね上がる。
ドキドキが止まらない。
手を繋いだだけで、その笑顔ひとつで、すごく幸せな気分になる。
胸の奥に、ほんのりとした熱が灯ったようだった。
ずっとずっと握っていたい。
サスケの体温を、その優しさを、もっと身近に感じていたい。
これからも、ずっと。
今だって、こうして傍にいてくれる、この優しい手を、何がなんでも離したくなかった。
今さら離すなんて、とてもじゃないが、もったいなくて出来やしない。
だって、手を繋いだだけで、こんなにも幸せになれるんだって、今日、初めて知ったから。
(もう、ぜってー離さねェってばよ!)
心の隅で秘かに決意しながら、ナルトは大好きになったその冷たくも優しい手を、ぎゅっと握り締めた。
《終わり》
2014.01.11end
後書き
こうしてナルトはサスケに恋しちゃいました♪
ナルトは、サスケの「手」を好きになったと思い込んでますが、本当は「手」じゃなく、サスケ本人を好きになったのです。
でも、まだナルトはその恋心を自覚してません。
手を好きになる(笑)より以前は、サスケに対する気持ちは友情&憧れでした。友達になりたいな〜と思ってました。
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