冷たい彼の優しい手
12話
(うわァーー)
急に心臓が小さく跳ねた。
冷たい態度ばかりだったサスケの、始めて知る優しさ。
不器用で分かりずらいそれは、けれど確かに自分へと向けられていた。
一方通行なんかじゃなかった。
サスケが、自分の事を見てくれていた。
それだけで、さっきまで凍えてしまいそうだった気持ちが、綺麗さっぱり溶けて無くなってしまった。
サスケが来るまで、あんなに辛かったのが、嘘みたいだった。
ちょっと冷たくされたら、泣きたくなる程哀しくなって、ちょっと優しくされたら、飛び跳ねたくなる程嬉しくなるなんて。
(オレってば、何かおかしくね?)
それでも何だか……とっても、この手を離したくない、と思う。
ナルトは咄嗟に手を伸ばすと、無意識にサスケの空いた方の手を握っていた。
冷たい……けれどそれだけじゃない、何かを与えてくれる不思議な手。
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