冷たい彼の優しい手
11話

「おい、大丈夫か?」


しばらく目を閉じて、その感触に浸っていたからだろう。


こそとも身じろがないナルトへ、窺うようにサスケが尋ねてきた。


慌てて瞬きをすると、すぐ真上から覗き込まれていた。


またサスケの眉間に皺が寄っている。


相変わらず不機嫌そうな、けれどそれだけではない、普段の彼には似合わない心配気な色も浮かんでいる。


サスケに心配されている。


面倒をかけていると分かっていても、彼の気持ちが真っ直ぐ自分にだけ向けられているこの状況が、やっぱり嬉しくてたまらない。


「へへ、すっげーいい気分だってばよ」


確かに不規則な呼吸は相変わらず苦しかったけど、サスケが傍にいてくれるなら、そんなものはちっとも辛くなかった。


「フン、熱が高ェのに何言ってやがる。……カゼか?」


「うん。今朝起きたら、ひいてた」


「やっぱりな。任務での、てめーの様子がおかしかった」


「え…?」


(それで、わざわざ探しに来てくれたんだってば?)


では、偶然ではなかったのだ。


サスケがここにいるのは。


誰にも気取られぬよう必死で誤魔化していたナルトの不調を見抜いて、ここまで足を運んでくれたのだ。



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