うちはの神様
2話


◇◇◇◇◇




――100年後――




里の外れに、その寂れた屋敷跡はある。


古の一族が棲んでいたその集落は、外敵の侵入から里を護るように、あるいは里中心部から距離を置くかのように、里と森との、ちょうどぎりぎりの境界線にあった。


古の時代そのままに長い年月放置され、朽ち果て荒廃したその場所は、かつて、忍の始祖の血脈を汲み絶大な力を誇示した一族の棲まう土地だった。


写輪眼のうちは一族。


だが、その尊い血もとうの昔に途絶え、もはや、その名すら年月と共に風化し、人々から忘れ去られていた。


誰も足を踏み入れる者などとうになく、荒れ果てたそこを、だが恐れる風もなく訪れる者があった。


闇の中に響く、可愛らしい足音。


「神様?いるってばよ?」


集落の玄関である古びた門からひょっこり顔を覗かせたのは、10歳ぐらいの、まだ幼い子供だった。



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