vacillate between fear and love
1話
2010.03.23start
前書き
『believe it or not』の、その後。
ナルトside。
サスケが戻って来て、また一緒にいるようになったけど、以前のようには受け入れられないでいるナルトの、揺れる心。
一緒に寝てても行為はしてません。
寝返りを打って、柔らかなシーツの波に緩慢な仕草で溺れていたナルトは、自分の直ぐ傍に、朝日を浴びて眩しいぐらいに輝いている、艶やかな漆黒の髪に気が付いた。
うっすらと淡く頬を彩っているのは……産毛だろうか?
何となく無性に可愛らしくなって、思わず誘われるように指を伸ばして、そっとそれに触れる。
「サスケ……」
名前を呼んでみた。
まだ眠っているのか、返事はなかった。
そのことに自分が僅かに安堵したのが、少し切なかった。
起きるかなとドキドキしながら髪からゆっくりと指を滑らせて、少し寝乱れた寝間着の肩の線を撫でていく。
陶器のように滑らかで、流れるような逞しさは自分にはないものだった。
ちゃんとした男の身体。
でも、よほど自分より綺麗だと思った。
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