believe it or not
12話
「好きだ」
自分の言葉は信じてくれないけれど、それでも告げる度に、微かに反応するように震える身体。
そして、ゆっくりと双の蒼穹が、さざ波のように静かに揺れて、こちらの方を見てくれる。
だから、おそらく嫌われてはいない、と思う。
けれどこんな状況で、本当の恋人同士になるのなんて、きっとまだまだ当分先の話だ。
第一、無理に奪い踏み躙った目に見えない傷痕は、二人の中に今も、深く残っている。
サスケの罪は、人を疑うことを知らない無垢なナルトに対して、人に裏切られる恐怖を植え付けてしまったこと。
彼が信じられなくなるような、酷い言動をたくさんしてしまったこと。
けれど、いつかは…………と思うのは、傲慢なことなのだろうか。
いつでも太陽の下で笑っているナルトの、その極上の笑顔を自分だけの為に……なんて。
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