believe it or not
10話
自分の抱える狂気、その目的達成にばかり捉われ、彼の心情を顧みることをしなかった。
いつでも、己と対峙する時のナルトは、ピンと背筋を伸ばして揺るぎがない。
そう映っていた。
裏切られ、拒絶され、幾度となく突き放された苦痛など微塵も感じさせない、強い眼差しだった。
けれど、本心は…………。
そんな大事な事を、こんな取り返しのつかない事態に陥ってから気付くなんて。
自分の迂闊さに腹が立つ。
「好きだ」
そう告げた言葉は、嘘や、その場限りの睦言ではなく。
全て真実だ。
けれど、ナルトはもう信じてくれない。
どれだけ真剣に愛を告げても、彼の意識には真の言葉として届かない。
さんざん彼の想いを踏み躙ってきたのだから、それも当然だろうが。
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