believe it or not
4話
そうして彼の全てを奪い去っておいて、自分は――――――
裏切った。
あの頃、意識の奥に潜んでいた、もう一人の自分の抱えた闇はあまりにも深すぎた。
狂気と殺意にまみれた、誰も近付けない深淵。
イタチに対する憎悪を、この時、自分で抑える事が出来なかった。
ついこの間まで、子供のままごとのように屈託なく笑い合っていたナルトは…………
自分にとって。
簡単に切り捨ててしまえるような。
その程度の存在。
そう考えた自分自身の感情に、何の疑問を持つ事無く、闇に堕ちた。
けれど多分、最初から捨て去る事など出来るはずがなかったのだ。
どれだけ自分が、そう思い込もうとしていたとしても。
本気で切り捨てるつもりでいたのなら、終末の谷で、生死を懸けたあの瞬間に、躊躇なく殺していたはずだ。
[ 前 へ ][ 次 へ ]
[目 次 へ ][TOPへ]