蒼い瞳の君に
18話

誰でもいい、一度でもいいから、産まれてきて良かったのだと、おめでとう、と言ってくれる誰かを……。


ずっとずっと求めていたから。


だから、普段の己ならば絶対に他人に言わないような事を、危うく言いそうになってしまったのだ。


明日が……10月10日が自分の誕生日だと。


到底、祝ってくれそうもない相手に向かって。


けれど何故だか、今日のサスケは何もかもが普段の彼とは違っていたから。


サスケならば、欲しくて欲しくて堪らなかった祝福の言葉をくれるのでは……と、浅はかにも淡い期待を抱いてしまったのだ。


けれど、その理由が何によるものなのかが、分からない。


何故、急にサスケが変わったのかが。


(頭がこんがらがっちまうってばよ………)


もやもやとした掴み所のない気持ちが、ナルトの小さな胸には広がっていて、彼を混乱させる。


分からなくて、もやもやして、胸がちくちくする。


こんな風になってしまうのなら、いっそ最初から期待など抱かなければよかった。


そうすれば、余計な事など何も考えずに済んだのに。


惨めな自分を思い出さずに済んだのに。



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