蒼い瞳の君に
17話
優しい他人など、いない。
過去の経験を思い出してみても、どうせ揶揄われて掌を返されるのがオチなのだ。
サスケが少しぐらい優しく接してくれたからと言って、期待しすぎると馬鹿を見ると言うのは、過去に散々学んできた事だから。
甘えては駄目だ。
そう、分かっているのに。
けれどどこかで、自分は期待してしまったのだ。
性格も実力も、あまりにも違いすぎるから、サスケにとって自分は歯牙にも掛けない相手だと、知っていた。
それでも出来るなら、ありきたりの友達として、サスケと素直に普通に話したいとずっと思っていた。
心の奥底で。
そんな彼から、たまたま偶然にとはいえ、生まれて初めて貰った飴玉。
何の変哲もないそれが、忘れたいと願っていた、忘れたフリをしていた感情を、不意に蘇らせた。
寂しい、哀しい。
独りぼっちは嫌だ。
誰からも祝福されない、惨めな存在。
泣いてばかりいた、以前の弱い自分が顔を出した。
［ 前 へ ］［ 次 へ ］
［目 次 へ ］［ＴＯＰへ］