蒼い瞳の君に
16話
底の知れない漆黒の瞳が、不思議と今日は違っていて。
ぶっきらぼうな行動の中に、どこか気遣うような優しさがあるように思えてしまう。
服越しに浸透してくる体温が心地好くて。
家族の人肌でさえ触れたことのないナルトが知った、初めての他人の温もりに。
まるで手放しで甘やかされているかのように、抱き込まれている。
そんな錯覚さえ、覚えてしまう。
あのサスケが、仲が良い友達のようなスタンスで優しくしてくれている。
自分を大切にしてくれている。
(オレってば……だいじな友達……?)
けれどそれは、自分に対して好意的解釈すぎるだろうか?
だって自分は、そこまで良い人間じゃない。
誰も自分の事を気に掛けないし、見もしない。
里でさえ、自分の存在を拒絶していた。
理由も何も分からずに。
哀しいぐらい容赦のない孤独に、心も身体も凍えながら。
ただ誰からも愛されないのは全部、自分のせいだと。
何度も何度も、そんな現実を突き付けられてきた。
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