蒼い瞳の君に
13話
愛しくて大切で……そして、どうしようもなく触れたくて。
思わず、黄金色の雛のような頭に長い指を梳き入れる。
「サ…」
「黙ってろよ」
僅かにナルトが震えたのを無視して、あちこち自由に跳ねる髪を、素っ気ない言葉とは裏腹に殊更優しく撫でていく。
張り詰めた神経を宥めるように。
温もりだけを与えるように。
それは、酷く愛おしげな動きだった。
静かだけれど優しい触れ合いは、壊すのがもったいない程に心地好く。
その空気を彼も感じているのか、いつもはすぐに喧嘩腰になるナルトですら、大人しくされるがままだ。
どれぐらいそれを繰り返したのか………小さな頭を撫でていた手が、まるで慈しむようにそっと、こめかみからそのまろやかな頬へと辿った瞬間、ナルトの身体がピョンと大きく跳ねた。
突然我に返ったかのように、ナルトは慌ててぶんぶんと頭を振った。
頭を掻き混ぜられて子供扱いされた事にか、それとも常になく優しい触れ合いに焦ったのか。
「も、いーから、離せってばよっ」
完熟トマトみたいに真っ赤になったナルトは、慌てて離れようと、じたばたと、そのくせ素早い動きで飛び退った。
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