蒼い瞳の君に
10話
その刹那―――――――
「あ、サスケ、あのさ………」
おずおずとした響き。
それは随分と彼には不似合いな、小さな声だった。
一瞬、己の聞き間違いかと、踏み出した足を止めてサスケが訝しげに振り返れば、何故だかナルトは酷く哀しそうな顔で呟いた。
「オレ……あのさ……オレってば、明日………」
幾度も言い淀む唇。
躊躇うように迷うように、途切れる声。
蒼い瞳が不安定に、落ち着きなく視線を巡らす様は、まるで普段の彼らしくない。
「………ナルト?」
「……オレっ………」
それどころか、見様によってはどこか縋るような色が、その瞳には浮かんでいて。
その今にも泣き出しそうな表情に、胸がズキリと痛む。
補足:
ナルトはサスケに思いがけないプレゼント(?)を貰った(?)ので、何だか急に、明日が自分の誕生日だとサスケに言いたくなっちゃったのだ。
やっぱり誰かに祝ってもらいたい。
だけど、10月10日は祝うような日じゃないとも思ってる。
10月10日は悲劇の日でもあるから。
迫害されてきたナルトにとって、誕生日を知られるのは怖いのです。
もしサスケが、10月10日がナルトの誕生日だと知った途端に、他の大人達と同じように冷たい態度を取ったら…と思うと、怖くて言うに言えないのです。
だから哀しくなっちゃったの。
それが態度に出ちゃったわけです。
サスケは密かに(笑)ナルトの誕生日を知ってますが、ナルトが迫害されてきた経緯は知りません。
またサスケは、自分から誕生日おめでとうなんて言えません(笑)
でも偶然ナルトに会ったので、ちょうど自分が買ったソーダキャンディを、誕生日プレゼントのつもりでナルトにあげたのでした。
でも言葉に出して言わないから、ナルトには何も伝わってないです。
不器用な奴だなぁ(笑)
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