蒼い瞳の君に
９話
サスケは何かを堪えるように、きつく掌を握り締めた。
恋と言うのは不思議なもので、不意に発作のように込み上げてくる、どれだけ足掻いても抑えようのない愛しさは、己自身までも変えてしまいそうで、時々空恐ろしくなる。
どこまで自分は彼に恋をするのだろう。
魅せられてしまうのだろう。
いつも、ただ好きと言う一つの感情に全身が支配されそうになる。
それでも。
（―――――見ているだけで、いいんだ）
余計な言葉は言わない。
決して成就する見込みのない恋なら、敢えて本心を告げる必要はない。
それに下手に知られて、離れなければならなくなったらと思うと、無性にそれが怖い。
多分、ナルトにはこんな自分の想いなど理解できないと思うから。
マンセル仲間のラインを踏み越えてはいけない。
好きだなんて、これっぽっちも気付かれてはいけないのだ。
サスケは名残惜しい気持ちを無理やり押さえ込んで、ナルトから離れた。
［ 前 へ ］［ 次 へ ］
［目 次 へ ］［ＴＯＰへ］