恋情
5話
けれどこのまま、理由も何も分からずに流されてしまうのだけは、堪らなく嫌だった。
「……やめろっ、イヤだってば!!」
「何がイヤだって?」
ようやく口付けを解いた男が、彼の拒絶を聞きつけて、不満そうに逆に問い返してきた。
漆黒の瞳が射殺しかねない強さで、腕に囲ったナルトを睨み付ける。
一方的に行為を仕掛けてきたのは間違いなくこの男の方なのに、相手の急激な変化に感情がついていかない。
ナルトは崩壊寸前のプライドを何とか繋ぎ止めようと、ぎゅっと拳を握り締めた。
「ジョーダンはよせって言ってんだ!!」
「冗談だと思ってんのか」
「他にどう考えりゃいーんだってばよ!?」
苛立ったようにナルトは切り返した。
感情が全く掴めない相手に、蒼い瞳が戸惑いと焦燥を抱いて揺れる。
そんな彼を追い詰めるように、サスケが二人の間にあった距離をゼロにした。
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