恋情
4話
「ん、ぁ……ふぅ……ぅ……っ……」
呼吸困難に陥っているのが、身体のせいなのか、それとも気持ちのせいなのかが、分からない。
何故、どうしてこんな事になってしまったのだろう。
昨日までは、ごく普通に接していたはずだったのに。
任務を終えての別れ際、また明日と手を振った自分に、無表情ながらも小さく頷いてくれたのに。
どこで道を踏み間違えてしまったのか。
追いかけて追いかけて、やっとの思いで闇の淵から奪い返したサスケ。
お互い口にしてわざわざ確認した事はなかったが、それでもライバルで、親友で、誰よりも大切な仲間だったはずだ。
少なくとも、ナルトはそう思っていた。
なのに今、目の前にいるサスケは、ナルトがこれまで見てきたそのどれとも違う顔をして、彼の事を見下ろしていた。
感情が全く読めない。
溶けない氷のようなものを感じさせる男の、本心を見せない無表情さに、今更のように離れていた年月の長さを思い知らされる。
[ 前 へ ][ 次 へ ]
[目 次 へ ][TOPへ]