恋情
3話

今、自分を拘束している相手は紛れもなく同じ男で、何よりライバルと自他共に認めるたった一人の相手だというのに。


一体どうしてしまったというのか、サスケは………。


藻掻けば藻掻く程、かえって抱き締める腕が強くなっていく現実に、やるせない感情を覚える。


何故という戸惑いと、そのくせどこか諦めにも似た怒りを覚えている自分が、何だかとても滑稽だと思う。


「もっと口開けろ」


有無を言わせぬ口調に、頭の奥が麻痺していく予感。


右手を掴まれ、隙間なく密着した身体が奇妙に熱を持って、いだく疑問も、男としてのプライドも、何もかもを薄れさせていくようだった。


ちょうど敏感な上顎の辺りを探られて、背筋が頼りなく震えてしまった事に、どうしようもない羞恥を覚える。


だが、そんな反応でも気を良くしたのか、サスケの口付けは深くなる一方だった。



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