邂逅
8話
「オレってば、ぜってーサスケを諦めねェ!!」
真夏の空の色をした鮮やかな蒼が、鋭利な光彩を放つ。
ナルトは強く瞳を見開くと、ここへ来た本来の目的を開始するべく、一つ大きく深呼吸をする。
だが技を発動する為に伸ばされた腕が、その目的を果たす事はなかった。
「―――――諦めねェ、か…。お前もたいがい、しつこいな……」
潜められた、呟き。
不意に、近くから聞こえた覚えのあるその声に、ナルトは息を呑んだ。
(……え?……)
蒼眸が、驚いたように辺りを見回す。
いつから、そこにいたのか。
暗がりに立つ、漆黒の影。
気配を感じなかった。少なくとも、相手が声を発するまでは。
影がゆっくりと近づいてくる。
闇夜に浮かぶ新月が、単なる影に過ぎなかった人物に、少しずつ色をつけ、その姿を明らかにしていく。
仄かな明かりに照らし出されたのは、端正な顔立ちをした、漆黒と白を纏った男だった。
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