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(完全にネタなので、ブチッと終わる)



元々、やりたい事が多かった。特にきっかけがある訳でもなく、ふと思い立つ。けれど、思い立ったら即行動、なんてタイプでもないからいつか機会があればなんて考えている内にすぐ忘れる。そんなふうにふわふわと暮らしていた。



前世の記憶を思い出すきっかけは、色々な小説で読んできた。階段から落ちたりしなくても、ある時ふと思い出すのだ。
私の場合は、ふと忘れていたパスワードを思い出すように記憶を思い出した。ああ、そんなんだったかも、なんて軽く思い出した。これも例にも漏れず、きっかけなんてなかった。

私は前世はコナンにハマっていた。ぶっちゃけて言うと二次創作も読んでいた。なんでも原作内で死んだ人を好きだったらしく、なんなら助けたいと思っていたらしい。
らしい、というのは現実味がまるで無いからだ。今は赤井家の三男で、いきなり思い出した記憶でもその事実は揺るがない。正直思い出したのか、他人から聞いたのか分からなくなってもおかしくないぐらいには現実味がない。

残念ながら、私は今回の人生も宙に浮いたようにふわふわして終わるかもしれない。

現実味がないから正直前世で思っていた熱意がない。情熱はふっとカミサマにでも吹き消されたらしい。案外私の他にも転生した人は多くいて、ふっと炎を吹き消されて、そうしてこの世界の均衡は保たれているのかもしれない。


そんな前世の事より今の私には重要な問題があった。
前世は女性だった。今世は男。
その何が問題かと言うと、記憶は吹き消されているのに、体に染み付いている事や、きもちの面はそのままだったこと。案外カミサマの行うリセットは穴だらけだった。

どういうことか。
生活の細かな部分にポロっと問題は出てくる。

体の仕組みなんかは、前世を思い出す前に慣れているので問題ない。問題は一人称なんかである。

例えば学校で当てられた時、
「…これについて、赤井!どう思うか意見を述べろ」
「はい、わ、僕は…」
なんてなる。私と言いかかって慌てて引っ込める。言い慣れれば良かったのかもしれないけれど、心の中では私で話しているから仕方ない。
大人になれば私、と言ってもいいかもしれないが高校生ぐらいの思春期にはいじられる元である。

おかげさまで、あだ名はビックリレッド。なかなか酷いネーミングセンス。

高校生まではなんとか誤魔化しつつ、自分を隠してきた。

大学生になると、厳しい校則から解放されて男女問わずおしゃれに目覚める人がいる。私もその流れに乗じて、軽くメイクをしてみた。過去の記憶をなぞるように。元々の顔が男らしく無かったおかげで、女に見えるようになった。

「にいちゃんいいじゃん!」
化粧で化けた顔を鏡で眺めていると、部屋に入ってきた真純がパッと顔を明るくした。

「すごい!美人だな!」
ニコニコと嬉しそうに笑う妹が可愛い。愛嬌があるとはこの事だろう。

鏡の中には我ながら美人になった自分がいた。元々の顔立ちが男らしい訳ではなかったので、そこまで男らしさを隠す必要がなかったのが良かった。ほどほどの技術でもどうにかなった顔面に感謝である。


何してるんだと言いたげな母親は無視して街にでる。どうせあの人に意見を求めたところで何も起きない。人の好みは色々なんだ。
みんな違ってみんないい。呟くと勇気が出た。

その勢いで女モノの服を買い漁る。最近のトレンドなんかは知らないけれど、好みで揃えればいいだろう。フワフワのレースなんかに心が惹かれたけれど、見るのと買うのは別だ。程々に、可愛すぎない、ブラウンのスカートが気に入った。
枠外の中

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