夏祭り

「花火そろそろ始まるっぽいぞ」

両手いっぱいに戦利品を抱えた諸伏と萩原が降谷の声に目を輝かせる。吹き戻しを口に二つ咥えた陣平がヒョロロロと気の抜ける音を奏でつつ、無言で伊達の首を執拗に狙っていた。

神社の上から見えるぞと穴場スポットを勧めるとレッツゴー!!!と叫ぶ萩原を先頭にぞろぞろと移動を始めた。先頭の隊長萩原はひょっとこのお面を頭に、ヨーヨー綿飴りんご飴に射的で取ったぬいぐるみ(まあまあデカい)を抱えて、浮かれていますオーラ全開である。
その横の諸伏はりんご飴を齧って思ったよりもでかい面積で飴が割れ、口にもごもごと押し込んでいた。
その後ろに萩原を小馬鹿にしつつも全力で祭りを楽しんでいる狐面の降谷、ゴツいくせにプリキュアの綿飴袋を抱えた伊達。
謎の蛍光ピンクのサングラス(射的で取った)を付けて実質サングラス×2、吹き戻し×2の陣平なのだからまあ目立つ目立つ。お前は何を目指しているんだと問いかけたい。
ちなみに伊達のプリキュアは面白がった陣平に買わされていた。確かにプリキュア面との二択になったら俺でもそっちを選ぶ。

イカ焼きと生ビールを片手に後ろからついていくと、モーゼのごとく人垣が割れていくから歩くのは非常に楽だった。そして代わりに羞恥心は犠牲となった。

神社の上は開けていて、敷き詰められた石がサンダルに入ってくる。歩き方に気をつけつつ空を見上げると同時に夜空に綺麗な花が咲いていた。歓声があちこちから聞こえてくる。何かを模った花火が上がるごとに子供が指を刺して名前を叫ぶ声が聞こえた。斜め打ちとかいう技術が出来たらしく、日に日に技術は進歩しているんだなと謎の感動があった。
ちなみに降谷は炎色反応がどうこう喋っていてほか4人から無言で殴られていた。便乗して殴っている弟の笑顔は見なかった事にする。
「……降谷、お前モテねぇだろ」
思わず呟くと地獄耳の萩原にウンウン、そういうとこだよ降谷と肩を叩かれていた。
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