夏暁

朝、鳥のさえずりが聞こえてきて目を覚ました。日の傾きから見てまだ早朝だろうか。時計を見ると、5時過ぎだった。
いつもより早いが、早すぎる程でもないと立ち上がって、コップ一杯の水道水を飲んだ。寝苦しい夜だったからだろう、四方八方に散らばった弟たちは冷たい床をなんとか探し当てた姿勢のまま固まっていた。なんともアートスティックな光景に、コードを繋ぎ充電していたスマホで写真を撮る。パシャリとなったシャッター音にぴくりと降谷の指先が動いて思わず身を固めた。

がらがらと音を立てて窓を開ける。爽やかな夏の風に髪を揺らした。風が通るように対角線のドアを開け、身支度を整えるため、洗面所に向かった。

身支度を整え、自室で着替えた後、リビングに向かうとばっちりと目を覚ました降谷と伊達がなにやら話しているところだった。ひょいと顔を覗かせると、目を丸くして挨拶された。なんでも陣平が朝に弱いから兄も朝に弱いと思っていたらしい。
「人によるだろ…」
朝に弱いやつを起こさないように小声で突っ込むと伊達にそうだなぁと苦笑された。


6時になったら叩き起こすと3人で約束して数十分が過ぎた。完全に身なりを整え、仁王立ちして3人を囲む。どこか殺気に満ちたリビングに、そんな事も気にせずむにゃむにゃと萩原が寝言を呟いた。

「絶対萩原、女の夢見てんだろ」
「口元の緩みっぷりがすごいな」
「…こいつ警察学校でもそうなのか?」
「そうっすね」
「ありなのか、警察ってこんなやつ」
「無しですよ」

スマホの時計を睨みつつ、萩原の寝顔を観察する。警察学校での萩原の様子は相変わらずなようで、どこか安心した自分に呆れた。
降谷の声でカウントダウンが始まる。腕時計を睨みつけながら告げられる数字が小さくなるにつれて低くなる声にも彼らは動じない。(というより動じさえしないで寝ている)

「ゼロっ!」
極限まで低くなった声と同時に、抱きこんでいた枕を奪われた3人が同時に頭を打ちつける音が響いた。

「ぜろぉ…」
涙目でたんこぶをさする諸伏を鼻息を荒くした降谷が睨みつける。それを見た後、無言で時計を確認して立ち上がったので危機管理能力が高いのだろう。
彼らがのたうち回っている間に既に10分が経過していた。
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