歓談

ぎゃあぎゃと騒がしい。早く寝ろとリビングから追いやったアイツらは洗面所で騒いでいるらしかった。いつまでも話し声が聞こえて、ため息をついた。テンションがまるで修学旅行のようだ。

これは騒ぐなというほうが無理だろう。
「お前らそんな騒ぎたいなら全員リビングで寝ろよ」
ぎゅうぎゅう詰めの洗面所に顔を出すと、互いに掴みかかっている降谷と陣平がいた。何故か萩原は歯磨き粉を握りしめてそれを囃し立てている。名前ちゃーん、と手を振られて、それをはいはいとあしらった。
どういう状況なのか全く分からない。
俺の言葉に諸伏と伊達が苦笑いした。へいへいと頷く弟を軽く睨んで、洗面所を後にした。

リビングで寝るなら布団が要るだろうか。夏だから掛布団は要らないかと思い、右の部屋と物置から枕だけ引っ張り出す。それをリビングのソファに置くと、アイツらが丁度洗面所から戻ってくる所だった。

「お、兄さんも一緒に寝ます?」
「勘弁だわ」
けらけら笑う萩に、お前の兄じゃねえと呟く。上機嫌に枕を選ぶ彼にはそんな声は聞こえていないようだった。
「俺、松田の話とか聞きたいです」
つり目がちの目を輝かせてそんな事を言われると、断るにも断れない。曖昧に返事をすると、嬉しそうに笑われて、どうしようも無くなった。
そんな俺をみて、爆笑する陣平に、足蹴りをかました。

ぴっと音を立ててクーラーの温度を上げる。癖のようなそれは、電気代の節約から始めた事だった。暑いと文句言う陣平に、1度変わったところで分からないだろと言ったものだ。
ごそごそと寝転ぶ場所を探して枕を抱えて動くヤツらの間を動いて、ソファの肘掛けの真横を陣取る。壮絶なジャンケンにより、ソファの上は萩原が陣取ったようだ。その横に寝転ぶ伊達と、その横に降谷。テレビの前に猫のように丸まる諸伏に、椅子を並べて簡易的なベッドを作り出した陣平。それぞれの位置が決まったようだ。

「修学旅行みてー」
上機嫌な声をあげて、萩がむふふと笑った。それを弟が手を伸ばして、頭を枕で叩く。
「修学旅行か、懐かしいな」
「ゼロと俺は中学の頃京都と奈良に行ったよな?」
「そうだな」
枕を抱えて顔を突き合わせる姿はまさに修学旅行。間違えて別の対して仲良くないグループに入ってしまった班員の気持ちだった。
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